弁理士もうかうかできません

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これからは弁理士も戦国時代

先日、弁理士試験の口述試験(3次試験)が終わりました。
口述試験に挑んだのは、279名(2次試験合格者)のようですが、
9割が最終合格すると思います。

ほんとお疲れさまでした。

私が合格した時代からすると、受験者数も減ってきているせいか、
合格者数も減っています。合格者数が半減しています。

さて、そのような弁理士の仕事の環境ですが、
年々厳しくなりつつあります。

それは、多くの弁理士が特許で生計をたてていますが、
その特許の申請(出願)件数が年々減少してきているからです。

ここ数年、特許の申請(出願)件数は、年間30万件の大台にありますが、
減少傾向にあります。

そして、そのような減少しつつある特許の申請(出願)件数を弁理士で取り合っています。
要するに、毎年大きさがかわらない1つのパイを弁理士で取り合っています。

現在、弁理士の数は約1万人。
すると、単純計算では、弁理士一人に年間30件の特許申請が割り当てられる感じになります。

また、弁理士の中には、企業に籍を置いて、全く特許出願をしない弁理士もいます。
その数も年々増加傾向にあり、最近では、2割程度(2000人程度)います。

そう考えたとしても、8000人の専業の弁理士で30万件の特許の申請(出願)件数を取り合っているので、
弁理士一人に割り当てられる特許申請の数は年間30件より多少増える程度です。

一方、世の中には、多くの弁理士を抱えた大手特許事務所も多く、
そのような大手特許事務所では、弁理士1人あたり年間100件近く仕事をさせていたりします。
私もそのような事務所でずっと働いていました。
(かなり鍛えられます)

結果、特許の依頼件数が年間30件にまったく届かない弁理士もでてきます。
肌感では、そのような弁理士の方がむしろ多いです。

私の特許事務所も例外なく、特許の依頼件数が年間30件に至っていません。

でも、言い訳をさせていただくと、お客様のビジネスのスタートの段階から
関わりたいために、特許よりもハードルが低い商標登録という世界を選択し、
商標登録専門の特許事務所として今の事務所を立ち上げました。

おかげさまで商標登録の依頼数も増えてきていますが、
最近では、予想外に特許の依頼も増えてきています。
私自身は、独立前までは特許を専門としてやってきていたので、
これもうれしいことです。

これから、弁理士の業界もさらに厳しくなっていきますが、
お客様の利益にコミットできる弁理士だけが生き残っていくと思います。
私は、日々、その“お客様の利益”を問い続けています。