特許庁に提出する特許の書類をご自身で書かれている方もいらっしゃると思いますので、そのコツをお伝えしたいと思います。

特許の書類は、大きく分けて、願書、特許請求の範囲、明細書、要約書、図面があります。
さらに、明細書では、得に大きな項目として、【技術分野】、【背景技術】、【発明が解決しようとする課題】、【課題を解決するための手段】、【発明の効果】、【図面の簡単な説明】、【発明を実施するための形態】、【符号の説明】について記載しなければなりません。

そして、このような書類の中で重要な位置を占めているのが、特許請求の範囲、及び明細書中の【発明の詳細な説明】の欄の記載。
言い換えると、特許請求の範囲、及び明細書中の【発明の詳細な説明】の記載に、みなさんの全エネルギーを費やして欲しいのです。
そんなの書類全部の記載が大切だろ!、と弁理士の大先輩からおしかりを受けそうですが、私はそう思っております。

私は、ここ数年、システマチックに明細書を書いてきました。
というよりも、システマチックに明細書を書く工夫をしてきました。
なぜかというと、システマチックに書くことで、力を入れるべきところに力を入れ、力を抜くべきところで力を抜くことができるからです。

ところで、みなさん、「パレードの法則」というのをご存知でしょうか。
“20対80の法則”としてご存知の方もいらっしゃると思います。
「パレードの法則」によれば、20%の行動が、全体の80%の効果を決める、ような感じです。

また、システマチックにするということは、質の良し悪しはありますが、“質の安定”を確保できます。
そして、システムを改善していくとで、最終的には、高品質で安定したものを提供することができます。
実は、私が特許事務所を経営したかったのは、このようなシステムの考え方によって、お客様に高品質で安定したものを提供したかったからなんです。
なので、このあたりの話になるとちょっと熱が入ります。

話が随分とそれてしまいましたが、要するに、力を入れるべきところ20%のところにきちんと力を入れることができれば、その書類の80%は完成するということです。
このようなことから、私は、特許請求の範囲、及び明細書中の【発明の詳細な説明】の記載に、私の全エネルギーを費やしてきました。
そして、特許請求の範囲、及び明細書中の【発明の詳細な説明】の記載を書いてしまうと、実は、他の記載は結構楽なんです。

ここで、明細書中の記載についてさらに詳しくお伝えします。

【背景技術】の欄には、特許庁の特許電子図書館(IPDL)で調べた先行文献の技術(先行技術)を書きますが、その先行技術においてみなさんの発明と対比できる部分を要約して書くだけです。
注意すべきは、先行文献に書いていない技術を想像して書かないことです。書いてしまうと、その想像して書いた技術を基準にみなさんの発明の特許性が判断させてしますからです。これはどう考えてももったいないです。ご自身の考えた想像上の発明で、ご自身の発明の特許性が否定されてしまうかもしれないからです。

また、【発明が解決しようとする課題】は、一般的には、【背景技術】で挙げた先行技術と本発明との技術ギャップにフォーカスし、本発明に対する先行技術の問題点を記載すると良いです。
さらに、じゃっかん高度なテクニックになりますが、【発明が解決しようとする課題】には、【発明の効果】に記載する本発明の効果の裏返しを書くだけでも良いです。例えば、【発明が解決しようとする課題】の欄に、「そこで、本発明の目的は、〇〇〇することである。」(「〇〇〇」の部分に、【発明の効果】に記載する本発明の効果の裏返しを書く)。

さらに、【発明の効果】にもあっさりと発明の効果を書くようにします。嘘をつかずでも、でも書きすぎずという感じで効果を書きます。
このとき、“客観的な効果”を書くように気をつけます。「気持ちが良くなる」とか「使いやすくなる」というのは“主観的”な表現ですので、「気持ちが良くなる」とか「使いやすくなる」をもたらす作用的な部分を記載します。例えば、「早くなる」とか「滑らかになる」等といった“客観的な表現”にします。
私も、20年近く発明者や知的財産部の方とお付き合いしてきて、発明者や知的財産部の方の気持ちも痛いほどわかるのですが、【発明の効果】の欄は、発明者や知的財産部の方の思いが最も入るところなので、書きすぎることがあります。
でも、ここは、そのような高ぶる気持ちを抑えて、淡々と書くことをお奨めします。ここに作用的な部分を記載する姿勢にシフトすると、その副産物として、発明の本質がみえてくることもあります。すると、そのような発明の権利はほんと強くなります。

以上ですが、みなさんのご参考になれば幸いです。